【ダブルワーク&副業】36協定&労働時間ってどう考える?
2022.06.26
こんにちは!起業サポ 社会保険労務士の大石です。
起業を志して資金集めをしたい方、より生活を豊かにしたい方など…
お金を得るための最もシンプルな手段として、ダブルワークや副業で稼ぐ!という選択をしている方も増えているのではないでしょうか?
しかし!ダブルワークや副業にもさまざまなルールが整備されており、そのルールを知らずにいると、知らない間に違法行為をしていた・・・というリスクを抱えることになります。
そこで今回は、労働基準法のダブルワークや副業に関する“労働時間”や“36協定”について解説をしていきます!
労働基準法で、ダブルワーク&副業の労働時間に制限はあるのか?
結論から言うと、労働基準法では本業とダブルワーク・副業の労働時間にはルールがあります。
まず、本業とダブルワーク・副業の労働時間については『労働基準法32条』で定められています。
第三十二条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き、週40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。
引用: e-Gov法令検索
原則、「1日に8時間以上」あるいは「週40時間以上」は、労働することができません。(※変形労働時間制の導入をすれば、1日8時間以上・週40時間以上でも法律の範囲内になることもあります)
ダブルワーク・副業にも、このルールが適用されます。
本業とダブルワーク・副業の労働時間が通算されてしまうので、注意しましょう。
第三十八条
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
引用: e-Gov法令検索
例えば、A社6時間、B社4時間の場合でも、計10時間となり、1日8時間を超えてしまいます。
知らず知らずのうちに超えてしまっていた・・・ということにならないように、注意しましょう。
『36協定』を締結すれば、副業での時間外労働が可能に!
実は、労働基準法には32条の例外として、『36協定(サブロク協定)』があります。事前に、雇用主と労働者が締結できる協定となっており、締結すれば時間外での労働が可能です。
このルールは、ダブルワーク・副業においても適用されます。そのため、ダブルワークや副業を考えているor実際にしている方については、職場のルールを確認しておくことがおすすめです。
フリーランスや個人事業主は労働基準法の対象外!
ちなみに、労働基準法で適用されるダブルワーク・副業の対象者は、あくまでも「雇用された人=労働者」です。つまり、フリーランス・個人事業主は、労働基準法の対象外ということになります。週40時間ルールが適用されませんので、労働時間を意識する必要はありません。
フリーランスや個人事業主には適用されませんので、ここは勘違いしないようにしましょう。ある意味、さまざまな裁量を持っているのがフリーランスや個人事業主です。ご自身の労働時間について、しっかりと管理しましょう!
ダブルワーク&副業の36協定のルールとは?
では、続いて『36協定』が締結されたい場合のダブルワークや副業の労働時間のルールについて、確認します。ここで解説する注意しておくべきルールとは、次の3つです。
❶【週40時間】先に雇用された事業所での労働時間の計算をする!
たとえば、みなさんがA社(先に雇用)とB社(後に雇用)のダブルワーク・副業を始める場合。A社が160時間(週40時間×4週)働いたとすると、B社の労働時間はすべて時間外労働時間ということになります。ご自身は何時間になるのか?を一度計算してみましょう。
❷時間外労働も上限がある!?
実は、『36協定』が締結されたとしても、労働時間を無制限にできるわけではありません。
労働基準法の36条の4項は、次のように定められています。
第三十六条
前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。
引用: e-Gov法令検索
つまり、労働時間には「1ヶ月45時間」、「1年360時間」までの制限があります。ダブルワークや副業で「とにかく稼ぎたい!」と思っている方は、とくに注意しておきましょう!
❸36協定の労働時間の上限は、本業と副業で通算されない!
あくまで『36協定』は、労働時間の上限基準を定めたルールであり、このルールはそれぞれの職場で規制することを目的としています。それゆえ、労働時間の上限はそれぞれの事業所でカウントをします。
そのため、複数の職場で『36協定』を締結していたとしても、それぞれの職場で時間外労働時間の上限が決まっているので注意しましょう。
なお、それぞれの職場の上限とは別に時間外労働時間の通算が「1ヶ月100時間」「複数月平均80時間」まで、というルールがあります。知らない方も多いルールとなりますので、ここもおさえておきましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、労働基準法のダブルワークや副業に関する“労働時間”や“36協定”について解説しました!
ダブルワークや副業は、お金を得るための最もシンプルな手段ですが・・・
こういったルールを知らないと、知らない間に違法行為をしてしまっていた・・・というリスクもあります。
ダブルワーク・副業での労働時間についての基本的な知識やルールを知っておきましょう!
ダブルワークの労働時間についてお話しましたが、社会保険についても知りたい!という方はこちらも参照ください。
社会保険労務士大石 諒
リスク予防型の就業規則作成が得意です。起業時にはネットで探した就業規則を利用するのも一つの手ですが、その就業規則等で労使トラブルが発生した場合に会社を守れますか?御社の実態に沿ったオーダーメイドのリスク予防型の就業規則は、未払い残業問題等のあらゆるリスク回避を実現します。