【ダブルワーク】労働時間の法律上限あり?社内ルールづくりも解説!
2022.09.20
こんにちは。起業サポの宮本(法律担当)です。
ダブルワークの普及が高まっており、収入源が2つあるという人が増えてきていますよね。
ダブルワークで色んな仕事を経験して、いずれは起業したい!という考えを持っている方も多くいらっしゃいます。
社内でダブルワークをしている従業員がいる場合、注意をしなければならないことは“勤務時間”です。
労働基準法では、「ダブルワーク先の労働時間を通算する」というルールがあります。
ダブルワークをしている従業員が、知らないうちに法律の上限を超えてしまっている・・・
なんてこともあるので、そのボーダーラインを知って、社内管理をしていく必要があります。
そこで今回は、『ダブルワーク』×『勤務時間』×『社内管理』をテーマに解説をしていきます。
・労働基準法が適用されない対象者の範囲
・ダブルワーク従業員の社内管理
について、順番に説明をしていきますので、最後までお読みください!
<ダブルワークの勤務時間>労働基準法のルールとは?
ダブルワークの労働時間については、『労働基準法32条』と『労働基準法38条』で定められています。
引用: e-Gov法令検索
引用: e-Gov法令検索
この2つの法律内容を簡単に説明すると、下記の通りです。
❷❶の労働時間上限ルールは通算されるため、A社とB社の勤務時間は通算される
つまり、A社とB社の勤務時間の合計が「1日に8時間以上」あるいは「週40時間以上」超えた場合は、違法ということを示しています。
ただし、36協定を締結した場合や変形労働時間制の導入があれば、上限を超えて労働させてしまったとしても、法律の範囲内として認められるケースあります。
ダブルワークの36協定については、別記事で解説をしていますので、こちらもご確認ください。
<ダブルワークの勤務時間>通算&上限を超えないケースもある!
ダブルワークというのは、2つの仕事を掛け持ちする働き方を指します。
しかし、その働き方は多種多様です。
業種や契約形態によっては、労働時間が通算されないケースがあります。
②労働基準法は適用されるが、労働時間の規制がない職種 農業、畜産業、養蚕業、水産業、管理監督者、機密事務取扱者、高度プロフェッショナル制度の適用者
上記に当てはまる場合は、労働時間の通算ルールは適用されないので、上限を超えてしまっても違法にはなりません。
ただし、長時間労働によるストレスや健康の悪化など、トラブルが発生してしまう可能性もあります。通算の必要がない場合であっても、労働時間の管理はしっかりとしていきましょう。
ダブルワークの社内ルールを作ろう!
ここまで話してきた通り、ダブルワーク勤務者がいる場合は、社内管理をしていく必要があります。
しかし、もう一方の勤務先での労働時間を知ることは難しいですし、そもそもダブルワークをしていたこと知らなかった。という事例もあることでしょう。
そこで最善策の1つとして挙げられるのは、『ダブルワーク届出書』の提出をしてもらうことです。ダブルワークをしている従業員を管理するためには、本人に他社での勤務状況を自己申告してもらう仕組みをつくる必要があります。
下記3つを周知し、ダブルワーク勤務者に届出書を書いてもらいましょう。
☑ダブルワーク届出書のフォーマット
☑ダブルワーク届出書の提出先
ダブルワーク先に制限を設けたいという場合は、禁止する業種(同業他社の範囲など)を周知しておくと、トラブル防止に繋がります。
また、ダブルワークをするための誓約書をもらっておくと、さまざまなリスクに対応できます。
「自社の勤務に支障がないこと」「自社の顧客・秘密情報を外部にもらさないこと」などを誓約してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、『ダブルワーク』×『勤務時間』×『社内管理』をテーマにお話をさせていただきました。
ここまでの内容をまとめると、以下の通りです。
❷:労働基準法が適用されない雇用形態や労働時間の規制がない職種は、❶のルールが適用されない
❸:『ダブルワーク届出書』の提出をしてもらうことが、社内管理の最善策
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
弁護士
宮本 真志
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