社会保険の加入条件について。パート、年齢要件、雇用期間要件はあるの?
2021.02.24
こんにちは!社会保険労務士の大石です。
「社会保険は何歳から加入できて、何歳になると脱退できるの?」「契約期間がある社員を雇ったけど、契約期間がある社員も社会保険に加入させないとダメなの?」
このような疑問を持つ社長は大勢いらっしゃると思います。社会保険料は本当に驚くほど高いのでなるべく社会保険に加入させたくない気持ちもわかります。
社会保険の加入条件に関しては皆さまが思うよりシンプルです!
簡単にまとめていきますので是非ご参考ください。
パート・アルバイトでも1週間30時間以上勤務する社員は社会保険の加入義務あり
まず大原則の考え方についてご説明します!
正社員を社会保険に加入させなければいけないことはご理解いただけると思います。
「だったら、時給で働いているパート・アルバイトは月給の正社員ではないから社会保険に加入させる必要はないんじゃないのか?」という発想になると思いますが、答えはNOです。
パート・アルバイトでも正社員の4分の3以上である方は社会保険の加入対象になります。
一般的な会社では1日8時間労働の週5勤務であるため、8時間×5日=40時間が1週間の所定労働時間になる会社が多いと思います。40時間×3/4=30時間以上勤務する場合は社会保険の加入対象になるという理屈です。
1日7時間労働の会社や7.5時間労働の会社もありますので、会社のルールによって加入条件は変わってきますが、正社員より4分の3以上勤務するパート・アルバイトも加入義務があると理解をしていただければOKです。
ちなみにですが、例えば稼ぎたい大学生アルバイトが1週間30時間以上働いてしまうと社会保険に加入させる必要があります。「大学生だから入れなくても問題ない!」なんて例外はない点もご注意ください。
社会保険に加入する年齢要件について
社会保険は一般的に厚生年金と健康保険と介護保険の3つに分けられます。
この3つとも年齢要件が異なります。
キーワードとなる年齢は、40・65・70・75歳の4種類です。給与計算を行う際にはこの4種類の年齢のキーワードを意識して行うとミスが減りますので覚えておくと便利です。
②65歳になると介護保険料の天引きが終了します。
③70歳になると厚生年金の天引きが終了します。
70歳以上でも、年金未納期間が長く、年金を受給できない方に関しては70歳以上も加入できる特例があります。
70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続きについては日本年金機構のサイトをご覧ください。
75歳以上の方は会社に雇用されていたとしても、後期高齢者医療制度に移行します。お住まいの管轄の役所で本人が手続きを行いますので、75歳になる方を雇用している会社は本人に対して案内していただけるとスムーズです。
詳しくは厚生労働省の高齢者医療制度ページをご覧ください。
入社時に高卒で18歳であっても社会保険には加入義務があります。「20歳以下だから社会保険に加入させる必要はない!」という例外もないのでご注意ください。
雇用契約期間がある方の社会保険加入要件について
雇用契約期間がある方で社会保険への加入義務がないパターンは5種類です。
引用: 日本年金機構
上記のパターンはほとんどの会社で当てはまらないです。
例えば居酒屋さんで、2カ月以内の契約期間を定めて雇用する場合は一般的にはほぼないと思います。「2カ月以内の契約期間を定めて雇用すれば、社会保険に加入させる必要はない最強スキームを思いついた!」というのは非常に横暴な考え方です。
社会保険の調査は全国で定期的に実施されますので、2カ月以内の契約期間を定めた社会保険に加入させなくても良い最強スキームを利用していても否認される可能性が非常に高いので、絶対にやめましょう!
まとめ
社会保険への加入条件については理解が深まりましたでしょうか?
「社員が手取のお給料額が減ってしまうので社会保険に加入したくない、と言っているから」「会社の社会保険料負担が重いので社員を社会保険に加入させたくない!」等様々な背景から正しく社会保険に加入をしていない会社もあると思います。
社会保険に加入させない責任は全て会社側にあります。社員の要望で社会保険に加入をさせなかったとしても会社の責任です。これは社員側との訴訟問題になるような内容です。例えば、社会保険未加入であったためもらえるはずだった遺族年金や障がい年金が受給できないと、遺族や本人から訴訟される可能性は非常に高いです。とてつもない損害賠償額になるので、それが原因で会社が倒産してしまってもおかしくありません。
会社がリスク回避をする上でも社会保険の加入条件を正しく理解して、正しく手続きをすることが非常に重要です。いいかげんな手続きをせず、年金事務所や社会保険労務士のような専門家に相談しながら進めましょう!
社会保険労務士大石 諒
リスク予防型の就業規則作成が得意です。起業時にはネットで探した就業規則を利用するのも一つの手ですが、その就業規則等で労使トラブルが発生した場合に会社を守れますか?御社の実態に沿ったオーダーメイドのリスク予防型の就業規則は、未払い残業問題等のあらゆるリスク回避を実現します。