<副業&兼業>社会保険・雇用保険の加入条件。役員の場合はどうなる?

<副業&兼業>社会保険・雇用保険の加入条件。役員の場合はどうなる?

2022.10.12

こんにちは。起業サポの社会保険労務士の大石です。

副業・兼業という1つの会社に縛られない働き方。これを認める会社が増えたことで、複数の収入がある人も多くいらっしゃいますよね。

副業・兼業をしている従業員の場合、“社会保険”と“雇用保険”はどのように加入させなければならないか?答えられますか?

このルールを知らないと・・・
「加入義務がある人が加入していない」「不要なのに重複加入している」
といった間違いによって、誤った保険料の支払いや未払いをしてしまいます。
副業・兼業を認めている会社の場合、加入ルールを把握しなければなりません。

そこで今回は、『副業兼業』×『社会保険』×『雇用保険』をテーマに解説をしていきます。

<副業&兼業>社会保険のルールとは?

副業・兼業している人で、どちらの会社でも社会保険の加入条件に達している場合、重複して加入しなければなりません。
下記3つが加入条件です。

<社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件>
条件①:勤務先が社会保険の適用対象となる事業所であること
条件②:1週間の所定労働時間、または1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
条件③:下記の5つの条件を全て満たしている
1) 1週間の所定労働時間の合計が20時間以上
2) 1ヶ月の賃金が88,000円(年収106万)以上
3) 1年以上継続して雇用の見込みがある
4) 被保険者の従業員が500人を超える事業所
5) 学生でないこと

次の手順で、手続きを進めていきましょう!

■従業員に自社と他社のどちらをメインの事業所とするか?聞く

どちらをメインにするかは、本人が選択できます。ただし重複して保険加入をしていたとしても、保険証は1枚です。

■通常通り、社会保険に加入する手続きをする

勤め先が1社の場合と同じ手続きとなります。

■『健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届』を提出

【1】を確認して、メインの事業所として指定された場合は、【2】の申請完了後にこの書類を提出します。届出をしないことによる罰則もあるので、忘れずに提出をしておきましょう。

会社員と社長を兼業したときは、社会保険はどうなる?

会社員として働きながら、自分自身で起業をして、会社を設立することで社長になるというケースもあります。
その場合の加入条件は、役員報酬の有無によって異なります。

●役員報酬がない場合

起業した会社の役員報酬が0円の場合、その会社で社会保険に加入する必要はありません。
会社員として雇用されている会社で社会保険に加入し、これまで通りに保険証を使い続けることができます。
 

●役員報酬がある場合

起業した会社の役員報酬がある場合、その会社でも社会保険に加入しなければなりません。

社会保険の加入条件として、『週30時間以上の勤務』というルールがありますが、役員の場合は短時間の就業であっても、報酬が出ている場合は社会保険の加入が必要となります。

※従業員という立場(役員ではない)であれば、原則のルールが適用されるので、週30時間を超えなければ、社会保険の加入義務はありません。

会社設立している社員がいる場合は、役員報酬の有無を確認しましょう。

<副業・兼業>雇用保険のルールとは?

社会保険と異なり、雇用保険は原則1社しか加入できません。

職場が複数あるという人は、収入の多い会社で加入します。本業と副業が同じくらいの収入であれば、どちらで加入するか?選択が可能です。

ちなみに、雇用保険は従業員のための保険なので、役員の場合は加入できません。副業が社員やアルバイトといった雇用形態の場合は、加入できます。

また、雇用保険には、失業等給付や育児休業等給付金といった給付があります。その際の給付額は、加入している会社の収入のみで計算されます。ただし、給付をもらえるタイミングで副業・兼業を続けていると、わずかな金額であっても働いているとみなされて、給付を受けることができません。

副業・兼業しており、給付をうけたい従業員がいる場合は、この情報を知らせておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、『副業・兼業』×『社会保険』×『雇用保険』をテーマにお話をさせていただきました。
ここまでの内容をまとめると、以下の通りです。

<副業・兼業している人の保険加入>

❶:条件を満たしている場合は、社会保険の加入が重複する。メインの会社として指定された場合は、『健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届』を管轄の年金事務所に提出すること。
❷: 原則として、雇用保険は1社のみ加入(収入の多い職場で加入)
❸:会社員と社長を兼業した場合は、役員報酬の有無によって加入条件が異なる

ちなみに、副業・兼業している人の『労災保険』については、別記事で解説をしています。こちらもご確認くださいね!


社会保険労務士社会保険労務士大石 諒

リスク予防型の就業規則作成が得意です。起業時にはネットで探した就業規則を利用するのも一つの手ですが、その就業規則等で労使トラブルが発生した場合に会社を守れますか?御社の実態に沿ったオーダーメイドのリスク予防型の就業規則は、未払い残業問題等のあらゆるリスク回避を実現します。

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