副業をすると時間外労働に上限はある? 法定休日の取扱いも解説

副業をすると時間外労働に上限はある? 法定休日の取扱いも解説

2022.08.24

こんにちは!起業サポ 社会保険労務士の大石です。
副業をすると時間外労働や休日労働の取扱いがどうなるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、副業やダブルワークの場合も基本的には労働基準法が適用され、時間外労働などに上限はあります。

しかし、副業の内容によっては労働基準法適用外になることも。
本記事では、副業や起業をする前にぜひ知っておきたい、副業やダブルワークの時間外労働、休日労働の取扱いについて解説します。

副業での時間外労働の取扱いとは?上限はある?

まずは、副業やダブルワークをする場合に時間外労働の取扱いがどうなるかを見てみましょう。

労働基準法での時間外労働とは?週40時間以上は働けない?

労働基準法では、労働者の健康や生活を守るために、法定労働時間として上限を定めています。

<法定労働時間>
・1日8時間以内(休憩時間を除く)
・1週間40時間以内

労働基準法上では、1日8時間、週40時間以上を超えて働くことはできないのです。

しかし、業務が忙しい場合など法定労働時間内ではどうしても仕事が終わらないことも。そこで、あらかじめ36協定と言われる労使協定を会社と労働組合が締結し、労基署に届け出た場合には、上限を超え時間外労働が認められます。

<時間外労働の限度時間>
時間外労働について、以下の両方を満たす
・1ヶ月45時間以内
・1年360時間以内

労働基準法は副業にも適用!ただ、個人事業主などは対象外

この労働基準法は、副業やダブルワークをする場合も適用されます。
そして、労働基準法38条では、2つ以上の異なる事業場で働いた場合は労働時間を通算することを定めています。
副業として別の企業で働く場合はもちろん、起業をして労働者を1人でも使用する事業を行う場合も適用されます。

したがって、
・基本的には本業・副業ともに通算して週に40時間以上は労働できない
・36協定を締結している場合は、各事業場での時間外労働を協定内容内に抑える
となります。

しかし、以下の場合には労働基準法や労働時間規制が適用されません。

<労働基準法が適用されない場合>

フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等

<労働基準法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合>

農業、畜産業、養蚕業、水産業、管理監督者、機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度

副業に多い、業務委託で仕事をする個人事業主やフリーランスには労働基準法は適用されません。
時間外労働や最低賃金などの規制の適用外になるため、仕事をしすぎることや収入面で割に合わない仕事をしてしまうことも。健康面も含め、個人でしっかり管理しましょう。

副業の労働時間については、こちらの記事を参考にしてください。

副業で時間外労働をした場合の取扱いは?割増賃金はどうなる?

副業やダブルワークで労働した場合、労働時間は通算されることが取り決められており、時間外労働になると割増賃金(通常賃金の1.25倍)を支払う必要があります。
具体例を見てみましょう。

1.2社合わせて法定労働時間を越さない場合

たとえば、A社とB社で以下のような労働時間で雇用契約を結んでいたとします。

雇用契約上の1日の労働時間
A社 5時間
B社 3時間

2社合わせて8時間であり、この通り勤務すれば2社通算しても時間外労働は発生せず、割増賃金にはなりません。
しかし、時間外労働が発生すれば、発生した会社が割増賃金を支払う必要があります。

2社合わせて法定労働時間を超す場合

雇用契約上の1日の労働時間
A社 8時間
B社 2時間

こちらの例だと、2社合わせると2時間が時間外労働となります。この場合、先にA社と雇用契約を結んでいたのであれば、B社での勤務時間が割増賃金として取り扱われます。
そして、それ以上に時間外労働が発生すれば、発生した会社が割増賃金を支払います。

副業で休日出勤をするとどうなる?

続いては、副業やダブルワークにおける、休日労働の取扱いについてです。
法定休日は、労働基準法第35条により以下のように取り決められています。

以下のいずれかの法定休日を取得する必要がある
・週に1日以上
・4週を通じて4日以上

法定休日は、ほとんどの企業で日曜日として定められています。
たとえば、日曜日が法定休日で、土曜日が所定休日として取り決められているのであれば、
・日曜の出勤は休日労働
・土曜の出勤は時間外労働

として取り扱われます。

本業での法定休日ではなくても、副業先での法定休日に勤務すれば副業先での休日労働としてカウントされます。
時間外労働と同じく休日労働時間についても通算されるため、注意しましょう。

副業する場合に注意するポイント

最後に、副業する場合に注意するポイントについてまとめます。

本業と副業の労働時間は通算される

本業と副業の労働時間は通算されます。
したがって、36協定が締結されていない場合は、週40時間以上の労働時間とならないように注意しなければなりません。
36協定が締結されている場合は、通算して週40時間以上勤務することはできますが、それぞれの事業場の協定内容をオーバーしないよう気を付けましょう。

また、時間外労働となる場合は割増賃金を支払う必要があるため、本業・副業先にきちんと労働実績を報告する必要があります。

健康面にも注意

副業をすることで、懸念されるのは健康上の問題です。
時間外労働は規制内だとしても、健康面でも無理をしていないか常にチェックしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
副業をした場合の時間外労働や休日労働の規制・上限はあるのかについて解説しました。労働時間は通算されるため、自己管理しながら会社へもきちんと申告することが必要です。副業や起業を考えているみなさん!ぜひ参考にしてください。


社会保険労務士社会保険労務士大石 諒

リスク予防型の就業規則作成が得意です。起業時にはネットで探した就業規則を利用するのも一つの手ですが、その就業規則等で労使トラブルが発生した場合に会社を守れますか?御社の実態に沿ったオーダーメイドのリスク予防型の就業規則は、未払い残業問題等のあらゆるリスク回避を実現します。

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