業務委託契約とは?業務委託が成立するまでの流れと注意点を解説!
2021.11.29
こんにちは!起業サポ 弁護士の宮本です。
業務委託契約は、事業を進めていく上で必要不可欠なものです。
よくわからないまま業務委託契約を締結してしまっていませんか?
今回は、そんな業務委託契約の基本的な知識や注意点について、解説していきます。
業務委託契約とは?
会社が事業を進めていく上で、すべてを自社で行うことは難しいですよね?
そこで、「業務委託契約」という方法をとり、自社だけなく第三者にも業務を外注していきます。
業務委託契約とは、一部の業務を自社ではなく、第三者に委託する契約のことです。
民法にも「請負契約」(632条)や「委任契約」(643条)、「準委任契約」(656条)として定められています。
このように民法上のルールは定められていますが、業務委託契約は度々トラブルに発展してしまう契約の1つです。
事業を進めていく上でトラブルは避けたいところだと思います。
トラブルを避けたいのであれば、基本的な知識と契約上の注意点は最低限おさえておきましょう。
業務委託契約の契約書の取り交わしまでの流れとは?
業務委託契約を締結するために、契約書の取り交わしをすることが通例となっています。
契約書で契約内容を明確にすることによって、受託側も委託側も不要なトラブルを避けることが可能です。
その契約書取り交わしまでの流れついては、次のとおりとなっています。
- 契約内容の確認
- 契約書の作成・修正
- 契約書の取り交わし(締結)
1.契約内容の確認
まず、業務委託契約の契約書を作成する前に、そもそもの契約内容を確定させる必要があります。
受託者・委託者間で確認するべき内容は、業務の目的や内容、遂行方法、また契約期間や報酬など、です。
これらの契約内容に問題がなければ、受託者が見積書の作成し、委託者に提出します。
2. 契約書の作成・修正
契約内容の確認が完了すれば、次は委託者が契約書の作成を行います。
契約内容に相違がないように作成し、受託者に確認を求めるような流れです。
この時点で相違があれば、修正を行い、内容に問題なければこのステップは完了です。
3.契約書の取り交わし(締結)
契約書に問題なければ、契約書の取り交わしが行われ、契約の成立という流れです。
契約書の内容が違法なものでない限りは、法的拘束力が生じるようになります。
そのため、受託者は契約内容に従って、業務を進めていかなければなりません。
一方で、委託者も契約内容に従って、業務内容に対しての報酬などの対応が必要です。
業務委託で注意すべきポイントとは?
ここでは業務委託契約を締結するまでの注意点について、解説します。
業務委託で注意すべきポイントは次の3つです。
- 契約書締結までに受託者の認識に相違がないか
- 「契約書」と「約款」の読み方に問題はないか
- 「下請法」との兼ね合いは問題ないか
1.契約書締結までに受託者の認識に相違がないか
契約書締結までに確認するタイミングは何度かあります。
ただ、受託者の認識そのものに誤りがあった場合、トラブルに発展するケースも少なくありません。
そのため、契約書締結までにしっかりと相手の認識を確認しておく必要があります。
無駄なトラブルを避けるためにも、この確認は怠らないようにしましょう。
2.受託者の「契約書」と「約款」の読み方に問題はないか
「契約書」と似たものとして「約款(やっかん)」というものがあります。
約款とは、事業を行うものが不特定多数の人と契約をする際に、事前に作成した定型の契約条項です。
民法では「定型約款」として定められており、所定の条件を満たすことで契約条項に法的拘束力を持たせることができます(民法548条の2第1項)。
そのため、約款を用いて業務委託契約を締結する場合は、受託者が約款に目を通しているかの確認が必要です。
約款が民法に明文化されたのは、最近のことなのでここはとくに注意しておきましょう。
3.「下請法」との兼ね合いは問題ないか
業務委託契約を締結する際には、もう1つ注意すべきことがあります。
それは、「下請法」との兼ね合いです。
下請法とは、「下請代金支払遅延等防止法」という法律の略で下請事業者の利益保護を目的としています。
業務委託契約の一部でこの下請法の規制を受けるおそれがあります。
下請法が適用される業務は次の4つです。
あてはまる業務を外注する場合は注意しましょう。
- 製造委託
- 製造委託
- 情報成果物作成委託
- 役務提供委託
業務委託で注意すべきポイントとは?
業務委託契約の理解は深まりましたでしょうか?今回は、業務委託契約の基本的な知識や注意点について、解説しました。
業務委託契約のルールを知っておけば、不要なトラブルに巻き込まれることは少なくなります。
事業を円滑に進めていくためにも、最低限の知識や注意点をおさえ、ルールに従って業務委託契約を活用していきましょう!
弁護士
宮本 真志
契約書の審査や作成、交渉を通して事業に専念できる体制作りの手助けをします。契約書を有利に作ることができるか否かによって事業の存続が決まるうえ紛争を未然に防止することもできます。また、トラブルにあった際には、直ちに相談し早期に対策をうつことで紛争の悪化を防止できます。