株式会社の設立登記時の定款を自分で作成する場合の注意点
2020.07.27
こんにちは!司法書士の笹山です!
法人化する場合でも、株式会社・合同会社・一般社団法人・特定非営利活動法人(NPO法人)など様々な種類の法人形態があります。
法人化する場合はまず自分のビジネス内容・ビジネスモデルがどの法人形態に適しているのか考える必要があります。
今回はその中でも一番需要の多い、株式会社の設立定款の作成について簡単にお話しさせていただきます。
インターネットで検索をすると定款のひな型が多く出てくるかと思います。定型文として一般的によく使われている内容のものがありますが、会社毎にそれぞれ決めていく必要があるものもあり、注意が必要な点もございますので、今回はそちらを確認していきたいと思います。一個ずつ見ていきましょう。
商号
商号を決める際にはいくつかルールがあります。
まず、必ず商号に「株式会社」という文字を使用する必要があります。株式会社に置き換えて「Co.Ltd」というような登記はできません。
また「商号が同一」かつ「本店所在地が同一」の場合は登記をすることはできません。
以下は同一商号とはみなされません。
・「株式会社AAA」と「株式会社aaa」
・「株式会社名古屋」と「株式会社ナゴヤ」
以下は同一本店とはみなされません。
「名古屋市中村区名駅一丁目1番1号名古屋ビル3階」
・「名古屋市中村区名駅一丁目1番1号名古屋ビル101号室」
「名古屋市中村区名駅一丁目1番1号名古屋ビル103号室」
つまり、設立する会社の本店住所が既存の会社の本店住所と一緒でなければ全く同じ名前の会社を作ることができます。
既に登記がされている会社の商号・本店所在地は国税庁ホームページの会社法人等番号の検索で調べることができます。
ただし、不正な目的により既存会社に損害が及ぼされる可能性がある場合、使用の差止めや損害賠償の請求をされる可能性があるため、同一業種の企業や、有名な企業の名前と同じものを付けるのは控えたほうがいいでしょう。
会社名に使用できる文字については、法務省URLをご参照ください。
本店
定款では本店所在地として少なくとも最小の行政区画までを定める必要があります。
定款で所在場所「例.名古屋市中村区名駅一丁目1番1号名古屋ビル101号室」まで決定することも可能ですが、本店を移動する度に定款変更を要することになるのでお奨めは致しません。
ご自宅を本店住所にすることも可能ですが、事務所を別で借りる場合は、一般的にはまず個人で契約をした後、会社設立後に賃貸契約を会社名義に切り替えることになります。ビル名・マンション名(部屋番号)まで登記するかしないかについては、選択ができます。会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書等)は第三者でも法務局で自由に取得することができますので、ご自宅マンションを本店にされている方はマンション名・部屋番号は省略される方が多いです。
目的(事業内容)
定款で定める事業目的は「実際に行う業務」「行う可能性がある業務」を定めて頂くようご案内しています。
定款で定める事業目的は会社の本業となるものです。定款に定めれれていない事業についても会社で行うことは可能です。定款で定めていない事業からの売上については、法人の決算書の本業以外の売上の欄に計上されてきます。そちらの売上が多くなりすぎると、何が本業の会社か分からなくなり、決算書の見栄えば悪くなってしまいます。
また建設業許可や介護事業など、その仕事を行うために許可や届出等が必要な業種については、「決められた文言」を正確に定款に定める必要がございます。
会社設立後に事業目的の変更・追加・削除などは株主総会の決議で自由にできますが、法務局への変更手続きに費用がかかってしまうので、設立時にしっかり考えたほうがいいでしょう。
資本金・出資者(株主)の決め方
会社法施行前は株式会社の資本金は1000万円以上である必要がありましたが、現在では1円以上からで手続きができます。ただし、会社の登記簿謄本は法務局で「誰でも」取得可能ですので、取引先やお客様が登記簿を取得した際の信用度としては100万円くらいあるとベターかと思います。逆に会社を設立する目的が単に節税対策や、資産管理目的など、取引先などのことを考える必要がない場合は資本金は少なくしても差し支えないと思います。
出資者となる人は、代表取締役ご本人でも大丈夫ですし、別の方に出資してもらうことも可能です。取締役(役員)を誰にするのかの決定、定款の変更などは「株主総会」で決議することになるので、揉める可能性がある第三者の方を株主に入れるのは可能な限り控えたほうがいいでしょう。
事業年度
個人事業主の場合は、毎年1月1日から12月31日までの売上や所得を2月3月の確定申告の時期に申告します。
会社の場合は、その会社の決算月を定款に定めることで自由に設定できます。また、後日変更することも可能です。(決算日は登記する事項ではないので、決算月に変更があっても法務局での手続きは不要です)
決算日をいつにするかは、税金計算にも大きく関わってきます。あまり考えずに決算日を決めてしまったことで予想外の税金がかかってしまうことがありますので、可能であれば税理士さんに相談した上で決めるようにしましょう。
以上、5点がご自身で設立登記をした後に、後日問題になったとしてご相談をいただくことが多い箇所です。
会社の設立手続きはご自身で行うことも可能ですが、設立後に不備がでてくるなど、余計な出費が出てしまうことも少なくなく、また登記簿の変更した履歴は全て残りますので会社の登記簿謄本の見栄えも悪くなってしまいます。
起業サポでは税理士・行政書士を含めて一緒にご相談いただくことが可能なため、安心して会社設立手続きをご依頼いただけるかと思います。
気になることがありましたら、気軽に私たち専門家にご相談ください!
司法書士笹山 慶太
各種法人の設立手続が得意です。
最短、ご依頼から2日間での設立手続が可能です。夜間や土日祝もお客様のご都合に合わせて柔軟に対応致します。また会社といっても、株式会社や合同会社、社団法人などその形態は様々です。お客様のお話をお聞きして、最適な提案を致します。