仮想通貨の申告の注意点~住民税について~
2019.04.28
事例形式で仮想通貨の申告の注意点を見てみたいと思います。
事例形式で仮想通貨の申告の注意点
私は昨年、仮想通貨取引による雑所得が18万円発生しました。
私の年間給与収入は500万円で、この給与から源泉徴収された所得税と復興特別所得税については、勤務先で年末調整を受けています。昨年において、上記の雑所得と給与所得以外の所得はありませんでした。
この場合、給与所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下であることから、私は昨年の所得について、所得税や住民税の確定申告を行う必要はないと考えてよいでしょうか。
ご相談の場合、所得税の確定申告は不要ですが、住民税については確定申告を行う必要があります。
解説していきます。
1.給与所得者の所得税確定申告不要制度
所得税法上、各種の所得金額の合計額 (譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除(基礎控除、扶養控除など)を差し引き、その金額 (課税される所得金額)に所得税率を乗じて計算して算出した税額から配当控除額を差し引いた結果、残額のある人については、原則として所得税の確定申告を行わなければならないこととされています。
しかし、給与の年間収入金額が2,000万円以下で、かつ、給与所得の所得税額が年末調整によって確定している人のうち、一定の要件を満たす人については所得税の確定申告は行わなくてもよいものとされています。その要件のうち主なものは、次のとおりです。
②2ヶ所以上から給与の支払いを受けている人で、年末調整を受けなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人
ご相談の場合、給与の支払いを受けているのは1ヶ所のみで、その年間収入総額は2,000万円以下(500万円)であり、かつ、その給与所得の所得税について年末調整が行われています。さらに、給与所得以外の所得がある(仮想通貨取引による雑所得)ものの、その所得(雑所得)の金額が20万円以下であることから、所得税の確定申告を行う必要はありません。
※なお、上記のような場合であっても、医療費控除や寄付金控除など、確定申告を行うことによってしか受けることができない各種控除を受けようとする場合などは、確定申告を行う必要がありますのでご注意ください。
2.所得税の確定申告不要制度と住民税の関係
上記1.で述べた所得税の確定申告不要制度は、あくまでも所得税法上の制度です。
個人住民税(都道府県民税、市町村民税)に関する法律(地方税法)には、そのような確定申告不要制度は存在しません。
このため、所得税で申告不要とした所得についても、住民税の申告は別途行わなければなりません。
このように、住民税については、所得税で申告不要とした所得を含めたすべての所得について、正しく申告を行う必要があることに注意してください。
税理士末松 和真
クラウドを使った経理業務の効率化が得意です。会計業務、請求書作成、経費精算、給与計算などをクラウド化する事により、業務効率を改善するお手伝いを致します。
効率化によって空いた時間を事業計画作成など経営に関する時間に使っていただきたいと思っています。