【起業支援のプロが解説】 経営理念とは?パナソニックなど有名企業の事例あり!
2023.06.01
経営理念は、会社の軸をつくるために必要なものです。ほとんどの経営者は起業したら経営理念をつくりますが、「経営理念をつくる目的がわからない」「経営理念による効果を知りたい」と考えている人も多いと思います。
社員一団となって仕事をしていくためにも、経営理念の目的と効果を知っておくことが大事です。
そこで今回は、起業支援のプロである私たち起業サポの視点から、経営理念の意味・目的について解説します。
パナソニックやリクルートなどの有名な経営理念の事例も記載しておりますので、ぜひ参考にしてみてください!
経営理念とは?
経営理念とは、どのような方向性で経営していきたいのか?を文章にしたものです。
「お客さんに貢献したいこと」「企業がどうありたいか」「どこを目指して働いていくのか」といったことが書かれています。つまり、経営者のモットーです。
この経営理念があることで会社の軸が分かりやすくなり、従業員に共有できるため、同じ方向を向いて働きやすくなります。ホームページなどで経営理念を掲載することで、他社やお客さんに自社の想いを伝えることができるでしょう。
経営理念の目的とは
❶経営の価値観を共有する
経営理念というのは、会社の価値観を共有するために作成するものでもあります。共有する相手というのは、従業員やお客さんや他社などが挙げられます。周りに企業が目指すものは何か、どういうものを提供したいのか、どのような働き方の方針を持っているのか、を共有することができます。
この価値観の共有こそが、Valueという要素で、経営戦略の一部を形成します。経営戦略とは、長期的な企業の目標を達成するための計画であり、これには企業の価値観が大いに関わります。
さらに、経営理念を共有することで、採用にも役立つことがあります。企業の経営理念に共感してくれた人が、面接を受けてくれる可能性が高まるからです。同じ考え方の人が従業員になると、企業が求める成果を出してもらいやすくなるでしょう。
❷従業員のパフォーマンスを上げる
経営理念を共有することで、働き方の方針が伝わりやすくなり、従業員のパフォーマンスが上がりやすくなります。何を目標にして企画や商品を考えるのか?が分かると企業が求めている成果を出やすくなるでしょう。同じ方向性で従業員が仕事をするためにも、経営理念は重要です。
❸人材育成の指針となる
経営理念は、人材育成の指針にもなります。新人社員を教育する際に経営理念を知っておくことで、目指したい社員のイメージを共有できます。イメージを共有すると、社内で自立するためには、どんな行動をすればいいのか?を想像しやすくなるでしょう。
この指針こそが、企業のMissionです。経営理念を通じて企業の存在意義や目的を明確にすることで、従業員がどのように行動すべきかを理解しやすくします。これは経営戦略の重要な要素となります。
❹企業のイメージをつくる
経営理念は企業のイメージをつくるという役割もあります。ホームページに経営理念を記載しておくことで、どのような社会貢献をしている企業か?何を目指している企業なのか?が明確になります。顧客や株主から経営理念に共感を得れば、会社にとってプラスになります。
この企業イメージの形成こそが、企業のVisionという要素です。経営理念を通じて企業が達成したい理想的な未来像を示すことで、顧客や株主に対して企業の長期的な目標を理解してもらうことができます。これもまた経営戦略の一部となります。
ここで出てきた、Value、Mission、Visionは経営理念を形成し、それぞれが経営戦略の一部を構成します。企業はこれらを理解し、活用することで経営戦略をより明確にし、企業の目標達成に向けた道筋をつけることができます。
有名企業の経営理念の実例4選
日本の有名企業の経営理念をご紹介します。経営理念づくりの参考にしてください。
❶「パナソニックグループ」の経営理念
国内大手の電化製品メーカーである『パナソニックグループ』は、以下の通りです。
(1)「綱領(こうりょう)」… 生活を向上するために新しい視点で利用価値をつくり出し、文明の発展をするために努力すること
(2)「信条」… 経営基本方針をもとに行動し、自ら向上心をもつこと
(3)「私たちの遵奉すべき精神(七精神)」…産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、礼節謙譲の精神、順応同化の精神、感謝報恩の精神
要約をすると「誠実で誠意のある行動をし、仕事に情熱を注ぎ向上心をもつこと」と記載されています。パナソニックグループの経営理念は、ホームページに説明書きがしっかりされているので、起業の際に参考にできる箇所が多いでしょう。
参照: パナソニックグループの経営基本方針 – パナソニック ホールディングス
❷「ほけんの窓口グループ」の経営理念
日本の代表的な保険代理店『ほけんの窓口』の経営理念は、以下の通りです。
お客様にとって「最良の会社」
■私たちの姿勢(最良の会社づくりの3本柱)
(1)お客さまと向き合う7ヶ条
(2)完璧な募集態勢の構築
(3)お客さまの声が経営の原点■私たちの日常(お客様と向き合う7ヶ条)
(1)「お客さまの意向」を承ることが、私たちの仕事の基本です。
(2)「お客さまの立場」で考えることが、私たちの仕事の基本です。
(3)「お客さまの期待」で応えることが、私たちの仕事の責任です。
(4)「お客さまの評価」こそが、私たちの仕事の物差しです。
(5)「お客さまの満足」を得られることが、私たちの仕事の目標です。
(6)「お客さまの感動」をお手伝いし共感することが、私たちの仕事の喜びです。
(7)「お客さまのありがとう」の一言が、私たちの仕事の終わりです。
ほけんの窓口グループの大きな経営理念として、「お客さまにとって最優の会社」と記載されています。保険という商品を通してお客さまの一生をサポートしたいという想いを理念として掲げています。
従業員に求める社員像については「最優の会社づくりの3本柱」に記載し、対面で営業する際のモットーとして「お客さまと向き合う7ヶ条」が紹介されています。
参照: 「ほけんの窓口」の理念:ほけんの窓口グループ株式会社
❸「ヤマトホールディングス」の経営理念
大手の宅配便であるヤマト運送を手がけている、ヤマトホールディングス。運送の他に、引っ越しなども運営しています。そんなヤマトホールディングスの経営理念は、1931年に作られた社訓をもとにしています。経営理念は、以下の通りです。
1 「経営理念」には、ヤマトグループが事業を営んでいく目的や、企業としてのめざすべき方向。
2 「企業姿勢」には、ヤマトグループが社会に対して約束し、常に実行していくこと。
3 「社員行動指針」には、ヤマトグループの社員が企業理念に基づいて日々の行動の中でとるべき、社員としての考え方やあるべき姿。
ヤマトグループは、グループの社員全員でこの企業理念を共有し、「持続可能な社会の発展に貢献する企業」、「働く社員がいつまでも誇りと思える企業」、そして「社会から信頼される企業」であり続けます。
経営理念の他に12ヶ条の企業姿勢や、目指してほしい12ヶ条の社員行動指針も記載されています。
参照: グループ企業理念 | ヤマトホールディングス株式会社
❹「リクルート」の経営理念
リクルートは、インディードなど総合人材サービス業など、紹介事業をメインに行っている企業です。就職の他に、結婚や美容、グルメといった多彩な分野を展開しています。そんなリクルートの経営理念は以下の通りです。
私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。
【1】ビジョン(目指す世界観)
一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生。本当に大切なことに夢中になれるとき、人や組織は、より良い未来を生み出せると信じています。【2】ミッション(果たす役割)
まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。私たちは、個人と企業をつなぎ、より多くの選択肢を提供することで、「まだ、ここにない、出会い。」を実現してきました。いつでもどこでも情報を得られるようになった今だからこそ、より最適な選択肢を提案することで、「まだ、ここにない、出会い。」を、桁違いに速く、驚くほどシンプルに、もっと身近にしていきたいと考えています。
【3】バリューズ(大切にする価値観)
・新しい価値の創造
世界中があっと驚く未来のあたりまえを創りたい。遊び心を忘れずに、常識を疑うことから始めればいい。良質な失敗から学び、徹底的にこだわり、変わり続けることを楽しもう。・新しい価値の創造
世界中があっと驚く未来のあたりまえを創りたい。遊び心を忘れずに、常識を疑うことから始めればいい。良質な失敗から学び、徹底的にこだわり、変わり続けることを楽しもう。・個の尊重
すべては好奇心から始まる。一人ひとりの好奇心が、抑えられない情熱を生み、その違いが価値を創る。すべての偉業は、個人の突拍子もないアイデアと、データや事実が結び付いたときに始まるのだ。私たちは、情熱に投資する。・社会への貢献
私たちは、すべての企業活動を通じて、持続可能で豊かな社会に貢献する。一人ひとりが当事者として、社会の不に向き合い、より良い未来に向けて行動しよう。
基本理念に合わせて、ビジョン・ミッション・バリューズの3つを記載されています。
ビジョンでは、自分に正直になり、自分らしい人生にする世界を目指しているという意志が書かれており、ミッションでは、「まだここにない出会いをスピーディに最適な人へ届ける」というリクルートという企業が果たしたい役割について記載されています。
バリューズでは、リクルートでは「一人ひとりの個性を大事にし、新たな価値観を創ること」を大切にする価値観だと説明しています。1人のお客さまと起業をつなぐからこそ、個人を尊重しているという想いが経営理念から分かります。
参照: 経営理念 | 株式会社リクルート
まとめ
今回、私たち「起業サポ」は企業運営の中心となる経営理念について、その目的と重要性を深掘りしました。
経営理念は、あなたの企業が追求する目標や理想の従業員像を示す基本的な道具であり、その企業が持つユニークなブランド性を形成する一部となるものです。
経営理念は単なるキャッチフレーズではなく、企業の核心を示し、外部に向けて経営姿勢を伝えるとともに、内部のチームが同じ目標に向かって一緒に進むための共有ビジョンとなります。これにより、採用、パフォーマンス向上、人材育成、企業イメージ構築といったさまざまな面で効果を発揮します。
そして、本記事でご紹介したパナソニックなどの有名企業の経営理念を見ていただくとわかるように、これらの理念はそれぞれの企業の個性と戦略を色濃く反映しています。自社の経営理念作りに取り組む際は、ぜひこれらの事例と解説を参考にしてみてください。
さらに、経営理念を具現化し、達成するためには、会社の経営計画についても深く理解することが重要です。このテーマについてより深く掘り下げるために、「起業お役立ち情報」にて、多様なトピックについての詳しい記事をご活用いただけます。これらの情報を活用して、皆さんの企業が望む方向へと進むことを心から願っています!
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